探偵は、人探しや住所特定、ストーカー調査など、様々な調査を行います。探偵に調査を依頼した場合、合法と違法の境界線はどこにあるのでしょうか。
探偵による調査の合法と違法の境界線とは?
「交際相手の浮気調査をしてほしい」、「入社予定者の素行調査をしてほしい」、「行方不明の娘を探してほしい」など、探偵の利用を検討中の方もいらっしゃるでしょう。探偵は、調査依頼者からのご依頼に応じて、尾行や聞き込み、張り込みなど様々な方法で調査を行います。
では、探偵が行う調査は犯罪や違法行為に抵触しないのでしょうか。探偵が行う調査が合法か否かは、「調査が探偵業法に基づいたものかどうか」にあります。
探偵業を開業する際、警察を管轄している「公安委員会」に届け出をする必要がありますが、まずはこの届け出を行い、「探偵業届出番号」を受け、探偵業法の範囲内で問題なく調査を行っていれば、調査は合法です。また、例えば「張り込み」や「聞き込み」、「尾行」などを調査の中でしても、調査依頼者が調査対象者の親族の場合、違法行為に当たらないことが多いです。
調査の過程で違法となる主なケース
では、違法行為となるケースはどのようなものでしょうか。探偵の調査の中で違法行為や犯罪行為にあたる可能性があるものには、次のようなケースがあります。
- 住居侵入罪
- 不正アクセス禁止法違反
- ストーカー規制法違反
- DV目的
- 差別に繋がる恐れのある素行調査
- 盗撮や盗聴
- 官名詐称
- 強要罪
- 秘密の保持の違反
などです。一つずつ解説いたします。
住居侵入罪
いくら調査依頼者からの依頼でも、無断で調査対象者の自宅や他人の敷地内に侵入することは「住居・建造物侵入罪」となり、違法行為に抵触する恐れがあります。
また、調査対象者が住んでいるのかなどを調査するために、調査対象者の自宅などの郵便物を無断で開封したり、持ち去ったりすることも「信書開封罪」にあたります。
不正アクセス禁止法違反
多くの方がSNSなどを使っていることでしょう。人探しなどのために、調査対象者の情報を入手しようと、調査対象者に無断でIDやパスワードを入手し、調査対象者のSNSなどにアクセスするのは「不正アクセス禁止法」に抵触する場合があります。
また、無断で調査対象者のパスワードを入手した段階で「不正取得罪」にあたってしまうこともあります。
ストーカー規制法違反
調査依頼者が調査対象者の近親者や、婚姻関係にある人だと、調査の中で調査対象者を尾行や張り込みをすることは違法行為に当たらない可能性が高いです。しかし、ストーカー犯の代わりに調査対象者を尾行や張り込み、つきまといなどを行うと違法行為になる恐れがあります。
探偵は、相談や依頼の時に、調査依頼者から調査の目的や、調査対象者との関係などをヒアリングし、その調査が違法行為目的での依頼でないかを見極めます。もし調査までは判明せず、調査中に調査目的がストーカーであることが分かった場合、直ちに調査をやめなくてはいけません。
仮に、調査員が調査終了まで調査目的がストーカーであったことに気付かずに調査を行った場合、調査依頼者は調査員に違法行為を行わせた、ということで調査依頼者が「ストーカー規制法」に抵触する可能性があります。
DV目的が疑われる調査を受けること
DV(家庭内暴力)から逃れている伴侶や交際相手などを見つけるために、探偵に人探しを依頼することも違法行為にあたります。
そのため、探偵は相談や依頼に関する打合せなどの際に、調査依頼者に挙動不審な行動など怪しい点があれば、調査を行わない場合があります。探偵がDVに繋がる恐れがあることを知りつつ調査を行うことは違法行為に当たる可能性があります。
差別に繋がる素行調査
「素行調査」では、交際相手や結婚相手、社員や友人などの
・家系
・住所
・家族構成
などを調査できます。
しかし、調査項目が、
- 特定地域の出身か
- 犯罪歴はあるのか
- 親や本人が過去に帰化したのか
- 国籍はどこか
など、差別を助長する恐れがある場合、探偵はそのような調査を行ってしまうと違法行為になります。
盗撮や盗聴
調査対象者に断らずに調査対象者の自宅や車などに勝手にカメラを設置したり、電話や自宅に盗聴器を設置したりすることは、「電気通信事業法」「電波法」などの違法行為にあたる恐れがあります。
また、カメラで撮影をしたり盗聴器を設置したりするために、調査対象者の自宅や敷地内に無断で入ることは「住居侵入罪」にあたる場合がありますし、カメラなどの設置のために車を破壊したりすると「器物損壊罪」にあたる場合もあります。
官名詐称
探偵は、調査の中で調査対象者の「人柄」や「評判」などの「聞き込み」をすることがあります。「聞き込み」自体は合法ですし、調査の時に、客になりすまして調査対象者のお店に入ったりすることはあります。
しかし、警察官を名乗って「聞き込み」を行うと「官名詐称」となり、「不正な成りすまし」の違法行為に当たります。また、探偵社がガス会社などに対して契約者のフリをして個人情報を得ると「不正競争防止法違反(営業秘密侵害)」に当たる場合があります。
強要罪
調査では、調査対象者の評判や勤務先、家族構成など様々な情報を調査します。しかし、調査で得た情報を元に調査対象者に土下座を強要したりすると「強要罪」に抵触することがあります。
秘密の保持の違反
探偵にはプライバシーの守秘義務があります。調査で得た情報を第三者に漏らすことは違法行為になりますし、もし街中で電話をしていて、その会話を他の人に聞かれてしまうと「秘密の保持」に抵触する場合があります。
その他、いくら「張り込み」や「尾行」が合法でも、「張り込み」や「尾行」中に信号無視や駐車違反などをしたり、交通ルールを破ったりすると違法行為に抵触する場合があります。
探偵が依頼を断る可能性が高いケース
違法行為やトラブルを避けるために、探偵が依頼を断る可能性が高いケースも以下のように様々あります。
・犯罪行為に関わる依頼の場合
・ストーカー犯に協力することになる場合
・不正な情報を入手することになる場合
・探偵に危険が伴う可能性が高い場合
・場合によっては、盗聴、盗撮をする場合
などです。一つずつ解説いたします。
違法調査している場合
先述したように、探偵社は「探偵業法」に基づいて調査するように定められています。そのため、いくら依頼があっても、依頼内容が
- 調査対象者が過去に帰化しているのか調査をしてほしい
- 警察になりすまして情報を入手してほしい
などはそれぞれ、「差別に繋がる恐れのある調査」「官名詐称」などにあたり、調査を行うと違法になる恐れがあります。このような場合は、探偵は依頼を断る可能性が高いです。
犯罪行為に関わる依頼の場合
- 自分のDVから逃げている妻やこどもを見つけてまた暮らしたい
- 復讐したい人物がいるので探してほしい
などの場合、人探し調査によって調査対象者を見つけると、「DV」「復讐」などが起こる可能性があり、場合によっては犯罪行為に繋がる可能性があります。
勿論DVをした経験があっても、調査依頼者が深く反省し、二度とDVを繰り返すことはないかも知れませんが、「犯罪行為に繋がる可能性がある」と探偵が相談や調査前の打合せなどの段階で感じた場合は、探偵が依頼を引き受けられないことがあります。
ストーカー犯に協力することになる場合
ストーカー犯が、自分がストーカー行為をしていることを隠したり、ストーカー行為をしていることに気付かずに人探しの依頼をすることもあります。しかし、探偵はストーカー犯からの依頼を引き受けることはできません。
相談や調査前の打合せなどの際に、
- 調査の目的
- 調査対象者と調査依頼者の関係
などを探偵はよくヒアリングします。
また、探偵社によっては、
- 依頼時に調査依頼者の身分証明書が提示できない
- 自分の伴侶を探してほしい場合、婚姻関係を証明するための住民票などが提出できない
などの場合は依頼を断ることもあります。
不正な情報を入手することになる場合
弁護士と違って探偵は、
・戸籍謄本
・住民票
・銀行口座
・ローン残高
などの個人情報は入手できません。
これらの情報は、多くの場合「調査対象者本人」「その家族」などしか入手できないのです。また、探偵はこれらの情報を入手するために「成りすまし」を行えないので、これらの情報を入手する依頼は断る可能性が高いです。
探偵に危険が伴う可能性が高い場合
暴力団など反社会組織に関する調査は探偵に危険が及ぶ可能性が高いので、そのような依頼も断ることがあります。
「自分の交際相手が暴力団関係者と浮気しているようだ。その人物の素行調査をしてほしい。」「自分のこどもが暴力団関係者から被害を受けた。加害者を特定してほしい。」などの依頼があっても、探偵の命などが危ぶまれる恐れがあれば、依頼を断る場合があります。
盗聴、盗撮が必要となる場合
- 自分の夫の不倫調査をするために、自宅に盗聴器を設置してほしい
- 社員の素行調査をするために、社用車にカメラを設置してほしい
などの場合、それらの自宅や社用車の持ち主からの依頼ならば、対象に盗聴器やカメラを設置することはできます。しかし、社員の自宅や車など、自分以外の人の所有物には、無断で盗聴器やカメラを設置できません。
もし調査対象者の自宅に盗聴器を設置する際などに、自宅の一部などを壊してしまった場合は、「器物損壊罪」に抵触する恐れもあります。また、盗聴器などの設置のために無断で調査対象者の住居の敷地内に侵入すると「住居侵入罪」になる場合もあります。
・器物損壊罪
・住居侵入罪
などに抵触する恐れがあるため、探偵はこれらの調査を行いません。もし仮に違法行為を行って浮気などの証拠を入手しても、その違法行為で得た写真などの証拠は法的に無効となります。
安心して調査を依頼できる探偵社の見分け方
では、どのようにしたら、安心して調査を依頼できる探偵社を見分けることができるのでしょうか。安心できる探偵社を選ぶには、以下のようなポイントがあります。
・無料相談時に調査プランを明確に伝えてもらう
・探偵業届出証明書の有無を確認する
・探偵事務所が実在している
・費用が安過ぎてはいない
・「成功率100%」をうたっていない
などです。では、上記のポイントを一つずつ見ていきましょう。
過去に行政処分を受けていないか確認する
探偵社は、「探偵業法」という法律の中で調査を行います。しかし、この探偵業法に違反した場合は、
- 営業停止命令
- 営業廃止命令
などの行政処分を受ける場合があります。
探偵業届出証明書の有無を確認する
先述したように、探偵業を営む際、まずは「公安委員会」に届け出をする必要があります。届け出を行うと、公安委員会から「探偵業届出番号」を受けられます。探偵社は、この番号を記載した「探偵業届出証明書」を探偵事務所に掲示する必要があります。
無料相談時に調査プランを明確に伝えてもらう
契約前に無料相談ができる探偵社が多くあります。その際に
・料金プラン
・オプション料金
・延長料金
・キャンセル料
などを教えてもらえると安心です。
また、探偵社によっては「料金表」の一覧を見せてもらえ、その料金の内訳も知ることができます。
記載の事務所が実在しているか
探偵社の中には、探偵社の住所が架空のものだったり、住所とされる場所に該当する探偵事務所が存在しない、というものも散見されます。また、連絡先の携帯番号が様々あっても、結局は電話が一か所に転送されるだけで、探偵社を大きく見せているだけ、という場合もあります。
無料相談や打合せ、契約などを全てオンラインや喫茶店で行うなどし、探偵事務所に行く必要がないこともあるかも知れません。しかし、急に連絡を取るために探偵事務所に行く必要が出るかも知れませんし、そもそも探偵事務所の住所や連絡先が異なっていると不安ですね。
費用が安過ぎないか?
多くの探偵社では、様々な料金プランを用意しています。料金プランによっては、調査料金が安くなる場合もありますが、他社と比べてあまりに調査費用が安すぎる場合は注意が必要です。あまりに調査費用が安すぎると
- そもそもまともな調査をしていない
- カメラなどの専用機材が少ない
- アルバイトなど調査員の経験が少ない
- 調査員の人数が少ない
- オプション料金や延長料金が高額である
などの場合があります。
契約前に複数社の料金見積りを取り、なぜその料金になるか説明してもらうなどして、調査費用を確認することが大切です。
「成功率100%」をうたっていない
探偵社の中には、「成功率100%」「絶対解決します!」などをうたっているところがあります。しかしこの場合、調査依頼者が考える「成功」と、探偵社が考える「成功」が異なる場合があります。
例えば、浮気調査の際、調査依頼者は、「浮気の証拠を得られたら『成功』」とすることがありますが、探偵社の中には「調査において浮気の有無は分からかなったが、調査自体は無事に行えたので『成功』」とすることがあります。
また、ホームページなどに「口コミ」がある場合、その口コミも参考にできます。
・口コミが高評価のものしかない
・口コミの内容が漠然としている
・口コミの内容が偏っている
などの場合、その口コミは故意に探偵社側で作成したものだったり、悪い口コミを掲載していなかったりする場合があります。
口コミがある場合は、
・口コミの内容が明確
・口コミの内容が偏っていない
などであることにも注意しましょう。
まとめ
探偵社は探偵業法で認められた業務の範囲内で調査を行います。探偵業届出証明書の有無、口コミの内容が偏っていない、などを確認して、安心して依頼できる探偵社を見つけることが大切です。アステル探偵事務所は事前に無料の相談ができ、不安や心配を解決することができます。探偵への調査をご検討の方は、まずはお気軽にご連絡ください。